久遠の絆には全編通じて天叢雲【アメノムラクモ】という神剣が登場しますが、DC移植版『再臨詔』ラストシーンではそれ以外にも三振りの神剣が登場しています。
これらの神剣にオフィシャルな設定はなく、ゲームの世界観から考えると出雲神話に登場する神剣のいづれかであるだろうとは容易に推測できます。
そこで天叢雲をはじめとする神話に登場する神剣・名剣・神器を文献から追ってみました。
天叢雲【アメノムラクモ】…八俣大蛇の尻尾から出てきた剣。詳細は別途特設ページにて記載。
天尾羽張【アメノヲハバリ】…伊邪那岐【イザナギ】が息子・迦遇槌【カグツチ】を切り殺したときに用いたとされる剣。別名の伊都尾羽張【イツノヲハバリ】は武甕槌【タケミカヅチ】と同一視されたり、もしくは伊都尾羽張の子が武甕槌とされることもある。更に付け加えると、武甕槌の分身が経津主神【フツヌシノカミ】とされることもあり、布津御霊剣【フツミタマノツルギ】と同一ではないかという一説もある、とてもややこしい剣。私思いますに、関係を調べるのが面倒だから別々の剣ってことにしましょう(爆)布津御霊剣と対になった雷を司る神剣なんだと考えれば妄想の余地も増えます(笑)
石切剣【イシキリノツルギ】…石切剣箭命神社(大阪府東大阪市)の由来になった剣。とはいえそれが古代山岳信仰の名残として生駒山を剣にみたてたものか、刀剣として存在したのかは不明。ちなみに石切剣箭命神社は腫れ物を切る神様、ガンなどの難病に対するご利益があるとして祭られている。
草薙剣【クサナギノツルギ】…天叢雲の別名。八尺瓊勾玉【ヤサカニノマガタマ】、八咫鏡【ヤタノカガミ】と並ぶ三種神器とされる。現在は熱田神宮(愛知県名古屋市)に奉られている。
七支刀【ナナツサヤノカタナ】…大和朝廷の武器庫こと石上神宮(奈良県天理市)に奉納されている宝剣だが、剣の形状から判断して少なくとも再臨詔とは無関係そうである。外見からして斬るための剣というよりむしろ儀礼用の剣、もしくは霊的な力を宿し、それをメインに扱う剣のようである。中国から国交のために贈られてきた霊剣のようである。
十種神宝【トクサノカンダカラ】…八握剣【ヤツカノツルギ】、瀛津鏡【オキツカガミ】、辺津鏡【ヘツカガミ】、生玉【イクタマ】、足玉【タルタマ】、死反玉【マルカエシノタマ】、道返玉【チガエシノタマ】、蛇比礼【ヘビノヒレ】、蜂比礼【ハチノヒレ】、品物比礼【クサグサモノノヒレ】の十品からなる。これらを祀り、「一二三四五六七八九十」【ひ、ふ、み、よ、いつ、む、なな、や、ここ、たり】と唱え、「布留部。由良由良止布留部」【ふるべ。ゆらゆらとふるべ】とゆさゆさと揺すると傷は癒え、死人も生き返るらしい。一〜十まで数えていることから考えると反魂には全品揃っている必要がありそうなのだが、単品で「布留部〜」と揺する分でも治癒能力はありそうである。一人では全部を同時に揺するなんてできそうにないしぃ(笑)いづれも石上神宮(奈良県天理市)に奉納されているようです。
十拳剣【トツカノツルギ】…一本の剣を指すのか、漠然としたグループを指し示した言葉なのか不明。伊邪那岐【イザナギ】が息子・迦遇槌【カグツチ】を斬った剣、黄泉国で妻・伊邪那美【イザナミ】を退けた剣、天照と須佐乃男の誓約により宗像三女神のよりしろとなった剣、須佐乃男が八俣大蛇を退治したときの剣、これらの剣いづれもが十拳剣と呼ばれる場合もある。やはり一本の特別な剣を指し示す名前ではないと思えます。
布津御霊剣【フツミタマノツルギ】…武甕槌【タケミカヅチ】と共に高天原から遣わされ、大国主【オオクニヌシ】から国を脅し取った軍神・経津主神【フツヌシノカミ】と同一視される存在。天孫降臨後も武甕槌が神武天皇を救うときに活躍するなど活躍の場が多い神剣。使い手が雷神だったせいなのか、剣が雷属性だったのかは不明。神武天皇を衰弱させていた悪気を払い、直接的か間接的か体力を回復させたような節も見られ、ひょっとすると癒しの能力もあるのかもしれない。大和朝廷における「平国の剣」として上神宮(奈良県天理市)に鎮座している。再臨詔原画&設定資料集に記載されていたような大嶽丸の三本の宝剣以外では最有力候補と思われます。
宝蔵石【?】…四国第二位の高山で、修験道の霊山とされ、最近まで女人禁制のおきてがあったともされる(た、たいち!?)剣山の山頂にある剣の形をした石。剱神社(徳島県美馬郡)の御神体は剣らしいのですがこちらの名前が不明瞭なので敢えて剣の形をした石の方を紹介(笑)安徳天皇の所持していた神剣を祭ったこともあるらしいが…ちなみに剱神社は日本各地にあるようです。
八握剣【ヤツカノツルギ】…十種神宝の一つ。安徳天皇が神器として所持したという話もあるがおそらくこれは神器つながりの誤情報であると思われる。その力は他九つの神器と組み合わせることで他の追随を許さないような効果を得られる。詳しくは「十種神宝【トクサノカンダカラ】」欄参照されたし。久遠の1ファンとしては再臨詔ラストシーンで沙夜(剣の持つ治癒効果から考えると栞?)が持っている剣はこれであって欲しいところ(笑)
八尺瓊勾玉【ヤサカニノマガタマ】…三種神器の一つ。天岩戸や天孫降臨で登場する五部神のひとりこと玉祖命【タマノオヤ】作。京都に八坂神社(通称・祇園さん)というところがあるがその由来は「八つの坂」(祇園坂、長楽寺坂、下河原坂、法観寺坂、霊山坂、山井坂、清水坂、産寧坂)であるためこちらはほぼ無関係といえる。神話内で剣と鏡は頻繁に登場するのに対し、勾玉はあまり表沙汰にならない不遇の神器(爆)一冊の本によると玉祖神社(山口県防府市)にて奉られている
八咫鏡【ヤタノカガミ】…三種神器の一つ。天岩戸や天孫降臨で登場する五部神のひとりこと伊欺許理度売命【イシコリドメ】作。天照【アマテラス】を天岩戸から出す時に使用したとされる。が、一説によると天岩戸で用いた鏡は日前・国懸神社(和歌山県和歌山市)に奉られている二枚で、八咫鏡は後に制作されたともいわれる。天孫降臨の際、天照の魂、分身として祀るよう言われた神器で、どうやら天照の力が宿っているようである。神宮(通称「伊勢神宮」、「神宮」のみが正式名称、三重県伊勢市にある)に奉られている。
蛇乃麁正【ヲロチノアラマサ】…須佐乃男【スサノオ】が八俣大蛇を退治したときに用いた剣。名前からして、大蛇を倒した後についた名前であろうが、同しエピソードとして扱われる剣は十拳剣【トツカノツルギ】ぐらいしか他になく、元は名の無い剣だったと思われる。石上神宮(奈良県天理市)に奉納されたらしいが現在も同神宮にあるのか不明。 情報求ム。
番外
平安時代、安倍晴明が二振りの剣を鍛えるエピソードがある。中国からの贈り物でそれぞれ四神と北斗南斗を司るらしき剣なのだが、菅原道真の怨霊によるとされる宮中の火災で失ったこれら二振りの霊剣を賀茂保徳死後、陰陽道における安倍晴明の力を誇示するかのように晴明なりの解釈を加えて作り直したとのこと。晴明がらみの剣だけに少し気になるところです・
そんなこんなで結論…ていうか設定資料集から加わった刀剣ほとんどないですね(あせあせ)
名前もわからない三本セットの宝剣なんて安直な答えは嫌なので各々の妄想を炸裂させましょう(爆)